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2020年・日本のユニコーン企業一覧&世界ランキング公開【用語解説】

こんにちは、DXやデジタルに関する用語を解説しているディックです。今日は「ユニコーン企業」とは何を表す言葉なのかわかりやすく解説していくよ。

みんなは「スタートアップ企業」って知っているよね。創業2~3年の、新たなビジネスモデルをつくって市場を開拓する成長途上の企業のことをそう呼んでいるんだけど、それじゃあスタートアップの中でも一定の条件を満たした企業のことを表す「ユニコーン企業」はどうかな? きっと「なんとなく聞いたことあるけど、意味は知らない」という人が多いんじゃないかな。なぜなら「スタートアップ企業」は続々と生まれているけど、「ユニコーン企業」はアメリカや中国が世界の8割を占めていて、日本にはまだ数えるほどしかなく少ないんだ。今回はユニコーン企業の定義とは何か、そして日本のユニコーン企業のランキング、世界のユニコーン企業のランキングを見ていこう。

「ユニコーン企業」の条件とは?

ビジネスマンの商談の様子

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ユニコーン企業の定義とは、どのようなものがあるんだろう。そもそも「ユニコーン企業」という言葉を生んだのは、ベンチャーキャピタリストのアイリーン・リー氏(アメリカ籍)。彼女が2013年に、急激に発展し成功をおさめているスタートアップ企業を表す言葉として使い始めたといわれているよ。ユニコーンといえば、神話に登場する伝説の生きもの。まさに「伝説」と言ってもおかしくないほどの稀有な存在に例えて、「ユニコーン企業」と呼んでいるんだね。ちなみに「ユニコーン企業」と呼ばれるには、以下3つの条件を満たす必要があるんだ。

◆一つ目は、起業から10年以内であること

まず、起業から10年以内の企業であること。ここが重要!どんなに成功を収めていて勢いがある企業でも、創業から10年以上経っていたら「ユニコーン企業」とは呼べないよ。

◆二つ目は、評価額が10億ドル以上であること

「評価額」とは企業の価値を数字に算出したもので「時価総額」とも言い換えられるよ。「ユニコーン企業」は、これが10億ドル(日本円で約1040億円*)以上あることが必須条件なんだ。ちなみに評価額100億ドル(約1兆円)を越える企業は「デカコーン企業」、1000億ドル(約10兆円)を越える企業は「ヘクトコーン企業」と呼ばれるよ。

*日本円の額は2021年1月のレートで表示しています

◆三つ目は、非上場であること

そして、非上場であることも条件の一つ。一度でも上場してしまうと他の2つの条件を満たしていても「ユニコーン企業」とは言えなくなってしまうので注意。例えばフリマアプリで一躍注目企業になった日本企業「メルカリ」は一時期「日本最大のユニコーン企業」とまでいわれていたんだけど、2018年に上場したから除外されてしまったんだ。

つまり、非上場のスタートアップ企業で評価額10億ドル以上を満たすのは、それだけ珍しいということ。だからこそ伝説の生きものになぞらえて「ユニコーン企業」と呼ばれているんだね。必要があるよ。

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「ユニコーン企業」が上場しない理由は?

伝説の生き物ユニコーン

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それにしても、なぜそんなにも評価されるユニコーン企業は「非上場」のままなんだろう。メルカリがそうしたように、ある程度有名になった企業は「上場をすること」がステイタスのようにも感じるのに不思議だよね。でも、最近では「あえて非上場のままを貫く」という企業が増えているんだよ。なぜなら、上場をすると社会的信用を得られると同時に株主のことを考えた経営に舵を切る必要が出てくるため企業の自由度が減ってしまうからなんだ。

上場することは確かにすごいことだけれど、短期的な業績で一喜一憂してしまうがために中長期的な成長戦略が練りにくいというデメリットもあるんだ。スタートアップ企業は「新たなビジネスモデルをつくって市場を開拓したい」と考える人々が立ち上げるからこそ、より自由に経営ができる「非上場」をあえて選んでいるんだね。言い換えれば「ユニコーン企業」と呼ばれる企業はそれだけ自由な視点で経営ができているということだよ。


「日本のユニコーン企業、なぜ少ない?」
2020年・日本のユニコーン企業ランキング

そんな「ユニコーン企業」、日本には何社くらい存在しているのだろうか。人材紹介を手掛けるフォースタートアップスが2020年9月に発表した「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」を見てみよう。ここ2〜3年で順位は入れ替わることはあったけれど、名を連ねている企業名は大きく変わっていない。共通していえるのはテクノロジー系の企業が多いということだね。

<日本スタートアップ企業、想定時価総額ランキング最新版(2020年12月10日時点)>

順位 企業名 事業内容 想定時価総額
1 Preferred Networks(プリファード ネットワークス) 機械学習·深層学習など最先端技術の実用化 3571億円
2 クリーンプラネット 凝縮系核反応を用いた新水素エネルギーの実用化研究 1298億円
3 TBM 紙やプラスチックの代替となる新素材「LIMEX」 1237億円
4 スマートニュース スマートデバイスに特化したニュースアプリ「SmartNews」 1237億円
5 Spiber(スパイバー) 新世代バイオ素材開発 1143億円
6 リキッドグループ 半導体のシステム 「KAMIKAZE」の開発 1143億円
7 TRIPLE-1(トリプルワン) 仮想通貨取引に流動性を提供する金融サービス「Liquid by Quoine」 1058億円
8 Mobility Technologies(モビリティ テクノロジーズ) タクシー配車アプリ 「JapanTaxi」など 993億円
9 パネイル 電力小売プラットホーム「Panair Cloud」 767億円
10 アストロスケールホールディングス スペース・デブリの除去技術の開発 692億円

出典:STARTUP DB ※日本円は2021年1月のレートで表示しています

日本のユニコーン企業ランキングを参考に考えてみると、「ユニコーン企業」に属する企業は1~7位の会社ということになるね。ちなみに5位のSpiber(スパイバー)は2020年1月16日に荏原(えばら)製作所という会社と業務提携をし、約10億円の出資を受けたことで国内7社目のユニコーン企業になったそうだよ。つまり、そこから約1年間、日本ではユニコーン企業が誕生していないともいえるね。


アメリカと中国が8割、世界のユニコーン企業ランキング

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それじゃあ海外も含めて見てみるとどうだろう。現在、世界には500社以上のユニコーン企業が存在するといわれていて、そのほとんどをアメリカと中国のスタートアップ企業が占めているんだ。

アメリカの調査会社「CBインサイツ」が発表した「世界ユニコーンランキング」(2020年6月)によると、1位は10代~20代を中心に全世界で盛り上がりを見せている中国発の動画アプリTikTok(テックトック)を運営している「字節跳動(バイトダンス)」。2位は同じく中国で生まれた「滴滴出行(ディディチューシン)」。日本でも「DiDiモビリティジャパン」がタクシー配車サービスやデリバリーサービスを提供していることでおなじみの企業だね。そして3位はインフラの自動化ツールを開発し、日本でも定評があるアメリカの「ハシコープ」。

<世界のスタートアップ企業、想定時価総額ランキング最新版>

順位 国名 企業名 主な事業内容 想定時価総額
(単位:10億ドル
(日本円単位:億円))
1 中国 ByteDance(バイトダンス) ショートビデオアプリ「TikTok」など 75(7兆1168億円)
2 中国 滴滴出行(ディディチューシン) タクシ配車サービス「DiDi Taxi」など 56(5兆8067億円)
3 アメリカ HashiCorp(ハシコープ) ITソフトウェア 51(5兆2882億円)
4 アメリカ SpaceX(スペースX) 宇宙ロケット開発 36(3兆7328億円)
4 アメリカ Stripe(ストライプ) オンライン決済 36(3兆7328億円)
6 アメリカ Palantir Technologies(パランティアテクノロジーズ) ビッグデータ解析 20(2兆738億円)
7 アメリカ Airbnb(エアビーアンドビー) 民泊仲介 18(1兆8664億円)
7 中国 快手(クアイショウ) 動画投稿 18(1兆8664億円)
9 インド One97 Communications(ワン97コミュニケーションズ) 電子決済 16(1兆6590億円)
9 アメリカ DoorDash(ドアダッシュ) 食事宅配 16(1兆6590億円)
11 中国 DJIイノベーション ドローン 15(1兆5553億円)
11 アメリカ Epic Games(エピックゲームズ) ゲーム開発 15(1兆5553億円)
13 シンガポール Grab(グラブ) 配車サービス 14.3(1兆4827億円)
14 中国 Beike Zhaofang(ベイク ジャオファン) ITソフトウェア 14(1兆4516億円)
15 アメリカ Snowflake computing(スノーフレークコンピューティング) ビッグデータ解析 12.4(1兆2857億円)
16 中国 BitmainTechnologies(ビットメインテクノロジーズ) ハードウェア 12(1兆2442億円)
16 アメリカ JUUL Labs(ジュールラボ) 電子タバコ 12(1兆2442億円)
18 アメリカ Wish(ウィッシュ) eコマース 11.2(1兆1613億円)
19 イギリス Global switch(グローバルスイッチ) ハードウェア 11.08(1兆1489億円)
20 インド BYJU’S(バイジュース) オンライン学習 10.5(1兆888億円)
21 インドネシア GOJEK(ゴジェック) 配車サービス 10(1兆370億円)
21 インド OYO Rooms(オヨルームズ) ホテル予約サイト 10(1兆370億円)
21 ブラジル Nubank(ヌバンク) フィンテック 10(1兆370億円)
21 アメリカ Ripple(リップル) 仮想通貨 10(1兆370億円)

出典:CBインサイツ ※日本円は2021年1月のレートで表示しています

このランキングからは、ユニコーン企業に共通している1つの特徴が見えてくるよ。それは、事業が「テクノロジー」に関連していること。やっぱり、時代に即した企業ほど高く評価されやすいということだね。

日本に「ユニコーン企業」が少ないのはなぜ?

男性ビジネスマン

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ところで、どうして世界中でこんなにもユニコーン企業が出てきているのに、日本は7社と少ないのだろう。理由のひとつに「未発達なベンチャーキャピタル」が考えられるよ。ベンチャーキャピタルとは、スタートアップ などのベンチャー企業に出資する投資会社で、ハイリターンを狙ってアグレッシブな投資を行うのが特徴なんだ。スタートアップ企業が事業を拡大するには、なんといっても資金調達が欠かせないからね。

だけど、日本ではアメリカや中国ほどベンチャーキャピタルが発達していないがために、どんなに技術や開発力があったとしても資金調達で挫折する企業が多いといわれている

実際、2018年度にスタートアップのために資金調達をした金額は日本が3880億円だったのに対し、アメリカは約14兆円と日本の約37倍だったんだ。GDP比で考えても、日本とアメリカでは22倍もの差があるんだよ。でも、だからといって日本ではユニコーン企業が増えないというわけではない。政府は「未来投資戦略2018」で「2023年までに、企業価値又は時価総額が10億ドル以上となる、ユニコーン企業又は上場ベンチャー企業を20社創出」という目標を掲げているんだよ。

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日本で今後増えそうな「ユニコーン企業」は?

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そう、今後は日本でもユニコーン企業が増える可能性が十分にあるということ。じゃあどんな企業が次世代のユニコーンとなるのだろう。

日本経済新聞社がまとめた2020年の「NEXTユニコーン調査」によると、評価額が100億円以上の日本企業は2019年に比べて3割増加の80社に到達したことがわかっているよ。なかでも全樹脂電池の研究・開発・製造を手掛ける「APB」や在宅患者に薬の飲み方を指導する遠隔サービスを提供する「カケハシ」の他、がん画像診断技術や自動運転システムを開発した神戸大学発の「Integral Geometry Science(インテグラルジオメトリーサイエンス)」などが注目されているんだ。

新型コロナウイルスや環境問題など、世の中の動きは大きく変わり始めている。これからのユニコーン企業には、時代の流れに対応できるという要素が求められているのかもしれないね。

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