DXレポート

DXレポートとは、経済産業省が2018年9月に「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」と題して発表した報告書のことを指す。世界ではあらゆる産業において、新しいデジタル技術を活用したビジネスモデルを展開する企業が登場し、デジタルトランスフォーメーション(DX)がスピーディに進められている。こうした中で、日本企業の競争力維持・強化のために経済産業省が警鐘を鳴らしたのが、このDXレポートである。DXレポートでは、世界に比べて日本企業のDX推進が進まない背景には大きく分けて4つの原因があると警告している。

<DXレポートによる、日本企業のDX推進が進まない4つの要因>

①IT人材不足
システム開発を行ってきた人材が定年退職の時期を迎え、それまで蓄えたノウハウが失われることで、2025年までにIT人材が約43万人不足する見込みとなっている。

②データと組織の縦割り
日本企業に多く見られる縦割り組織が弊害となり、部署間のデータの連携ができず、利活用もできない状態に陥っており、データの「サイロ化(孤立)」が起こっている。

③ブラックボックス化したレガシーシステム
長期間に渡って大規模な開発・改修を行ってきたシステムが複雑化・老朽化しており「システムのブラックボックス化」が日本企業のDX推進の足かせとなっている。

④経営者による明確な経営戦略
経営者が明確なビジョンを示さず、部下に「事業のDX」を投げてしまっていることが挙げられる。経営者には「DXで何をしたいのか」という明確なビジョンが必要で、それを実行するための体制づくり、風土の醸成、横断的な組織の構築などを明確に示すことが重要であると述べられている。