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GAFAの次は中国BATHの時代か、DXのけん引役アメリカのGAFAを紐解く

GAFAイメージ

DX化を進めようとしているなら「GAFA(ガーファ)」という言葉を一度は耳にしたことがあるだろう。GAFAのビジネスやそれを取り巻く環境は急速に変化を続けており、日本は大きく後れをとっている状況だ。しかも日本のDX推進が足踏みしている中で、GAFAの次の時代を背負うとして注目が集まる中国のBATH(バース)も気になるところ…。DX企業の代表的な存在であるGAFAのビジネスモデルを改めて確認してみよう。

そもそもGAFA(ガーファ)とは何のこと?

GAFAとは、Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字をとったアメリカのIT企業4社の略称だ。いずれも設立から20年前後と短期間で世界のトップ企業へと成長を遂げており、世界時価総額ランキングでは4社すべてがトップ10に入っている(2020年6月末時点)。

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GAFAとは、既存産業を破壊し続ける「デジタル・ディスラプター」

GAFAはデジタル技術を活用した商品やサービスを提供するITプラットフォーマーであり、その登場によって多くの既存産業が破壊され、「デジタル・ディスラプター」(デジタルの破壊者)とも呼ばれている。一体GAFAがどのようなビジネスモデルで既存産業を破壊したのか、一社ずつ見てみよう。

【アメリカのDX企業①】検索からAI開発へ、Googleのビジネスモデル

Google

出典:Chinnapong- stock.adobe.com

検索市場で世界シェアの7割(2020年3月時点)を占める最大手のGoogleが破壊した既存産業は「メディア産業」と「広告産業」の2つといえる。1つ目は、TVや新聞といったメディアが作ってきたコンテンツは、インターネットの普及と共にSNSや掲示板など一般ユーザーが参加してコンテンツを作るコンシューマー・ジェネレイテッド・メディア(CGM)へと代わり、従来のメディア産業を破壊。2つ目は、TVや新聞、ラジオなどを視聴することで情報を得ていたユーザーが、インターネットを利用して、WebサイトやSNS上で情報を得るようになり、従来メディアから広告の露出を奪うことで広告産業も破壊してしまった。

現在Googleは、非広告事業の開拓にも注力しており、持ち株会社であるアルファベットは、AI開発や自動運転システム開発、医療技術開発、都市計画などさまざまな事業社を保有している。

【アメリカのDX企業②】デザインと高い技術力に裏打ちされた、Appleのビジネスモデル

Apple

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MacやiPad、AppleTV、Apple Watchなど新しいデジタルデバイスを発売し続けているApple。
「iTunes」(音楽データ管理ソフト)や「iPod」を提供することで、CDやDVDなど既存の音楽販売産業を破壊。また「iPhone」によってガラケー市場やデジカメ市場を破壊し、新たにスマートフォン市場を創設することにも成功する。アプリのダウンロードサービス「AppStore」や音楽などのコンテンツを購入できる「iTunes Store」といったWebサービス事業を展開し、Apple製品でしか使えない(もしくは操作性が高い)ソフトウェアの提供や自社製品の連携機能の強化によってハードウェアの価値を高めている。

【アメリカのDX企業③】ターゲティング力が強み、Facebookのビジネスモデル

Facebook

出典:wachiwit- stock.adobe.com

2004年に設立されたSNS企業のFacebookは、GAFAの中で最も歴史が浅いが、InstagramやWhatsAppといった傘下のサービスも含めると月間利用者数は29億9000万人にものぼる(2020年3月時点)。Facebookは実名登録制のSNSであるため、利用者の年齢、性別、職業、役職、学歴、配偶者や子どもの有無といった他社にはない詳細なデータを持ち、ユーザーの行動から興味関心までも分析できる。

このためユーザーに向けたターゲティング広告の精度が圧倒的に高く、Google同様に、それまでコンテンツの主役であったTVや新聞、ラジオといった従来のメディア産業と広告産業を破壊した。

【アメリカのDX企業④】複合的な事業を展開する、Amazonのビジネスモデル

amazon

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世界最大のEC企業であるAmazonは、低価格やワンクリック決済、豊富な品ぞろえといったさまざまなバリューで既存の小売業界を破壊。百貨店やスーパーからコンテンツ産業まで幅広い業種を追い込むその影響力は「アマゾンエフェクト」(アマゾン効果)と呼ばれている。

EC以外にも、AmazonエコーやKindleといったデジタルデバイスやコンテンツの製造・販売、世界市場のシェア3割強を占めるAmazon Web Services(AWS・法人向けのクラウド基盤サービス)を展開。有料会員サービス「Amazonプライム」の会員数は全世界で1億5000万人を突破するなど、その勢いはとどまるところを知らない。

GAFAの次は中国のIT新興勢力「BATH(バース)」か

DX企業で注目すべきはアメリカのGAFAだけにあらずー。中国で急成長を遂げている「BATH(バース)」というIT企業群をご存知だろうか。検索エンジンのBaidu(バイドゥ)、EC企業のAlibaba(アリババ)、SNSのTencent(テンセント)、ICTソリューションプロバイダーのHUAWEI(ファーウェイ)の4社の頭文字をとった略称で、いずれもアジアのシリコンバレーと呼ばれる深セン経済特区が拠点だ。検索市場でGoogleに次いで世界2位のシェアを獲得しているBaiduや、AmazonやGoogleなど巨人ひしめくパブリッククラウド市場おいてシェア3位のAlibabaなど、いずれもGAFAに迫る勢いで台頭しており、「GAFAの次は中国のBATHか」と世界中が注目。両国は今後AIや5Gの分野で覇権争いが激化することが予想されている。

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このままだと12兆円の損失!?
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」とは

GAFAやBATHの興隆を前に、ようやく日本でもDX化が動き始めた。経済産業省は2018年9月に発表した報告書「DXレポート」において、DXを「将来の成長・競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること」と定義している。またこのまま国内でDX化が進まなければ2025年には年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある「2025年の崖」について警鐘を鳴らしており、大手企業も中小企業も待ったなしでDX化を進める必要がある。

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