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SDGsとも深い関わり「Society5.0」の実現で社会はどう変わる?【用語解説】

こんにちは、今日もデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連する用語を解説していくよ!

さまざまなところで見かけるようになった「SDGs(エスディジーズ)」というワード。近年は一気に関心が高まっていて、自社や取引先がすでに取り組んでいるという人も多いだろう。ところで「SDGs」を調べてみると関連ワードとして「Society5.0(ソサエティ5.0)」が頻繁にあがってくるのは知っているかな? 日本政府も2016年に科学技術基本計画において、Society5.0による超スマート社会実現を掲げ、人々の生活をより豊かにする取り組みを行うと発表したね。

今回は「SDGs」がそれぞれ目指していることを改めておさらいするとともに、そもそも「Society5.0」とは何なのか、SDGsとどんな関係性があるのかを解説していくよ。

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Society5.0に関連の深い「SDGs」とは?(エスディジーズ)

今回のテーマである「Society5.0」を解説する前に、関連性の深い「SDGs」についても解説するよ。SDGsとは、「Sustainable Development Goals(サステイナブル・デベロップメント・ゴールズ )」の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。

SDGsのイメージ

3_po- stock.adobe.com

今、世界は貧困や環境問題などあらゆる課題に直面している。これらを解決し、2030年までにより良い社会の実現を目的として、2015年9月、国連サミットにおいて全会一致で採択されたものなんだ。国連加盟国193カ国が、17の目標と169のターゲット、232の指標を達成すべく、さまざまな取り組みを始めているよ。具体的な目標は以下の通り。

目標1)貧困:貧困をなくそう

あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。

目標2)飢餓:飢餓をゼロに

人々に安全で栄養のある食糧を保証し、飢餓を終わらせ、持続可能な農業を促進。

目標3)保健:すべての人に健康と福祉を

人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進。

目標4)教育:質の高い教育をみんなに

人々に質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進。

目標5)ジェンダー:ジェンダー平等を実現しよう

すべての女性・女児のエンパワーメント(=権限を与えること)を行う。

目標6)水・衛生:安全な水とトイレを世界中に

人々が衛生的で安全な水を利用できること、それを持続できるような管理体制を確保。

目標7)エネルギー:エネルギーをみんなにそしてクリーンに

人々が、安価かつ信頼できる太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使えるようにする。

目標8)成長・雇用:働きがいも経済成長も

人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進。

目標9)イノベーション:産業と技術革新の基盤をつくろう

質が高く、信頼できるインフラをつくり、人々が安くて公平に使えることを重視した経済発展と福祉を進めていけるようにする。また、誰も取り残されない持続可能な産業化に向けて、2030年までにそれぞれの国の状況に応じて雇用と国内総生産に占める農業や漁業などの割合を増やす。

目標10)不平等:人や国の不平等をなくそう

各国内、各国間の不平等がない世界をつくる。

目標11)都市:住み続けられるまちづくりを

人々が安全な家に暮らし、基本的なサービスが使えることを目指す。また、安全に持続可能な交通手段を利用できるよう促す。

目標12)生産・消費:つくる責任 つかう責任

天然資源を持続的に管理し、効率良く使えるよう確保。また、化学物質やごみの排出を減らす。

目標13)気候変動:気候変動に具体的な対策を

気候に関する災害や自然災害が起きた際への対応を、各国が国の政策や戦略、計画に加える。

目標14)海洋資源:海の豊かさを守ろう

海洋やその資源を保全して持続可能な形で利用する。

目標15)陸上資源:陸の豊かさも守ろう

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の促進。また、持続可能な森林の経営や砂漠化への対処を行い、土地の劣化の阻止、回復および多種多様な生態系の維持を目指す。

目標16)平和:平和と公正をすべての人に

人々の司法へのアクセスを提供。あらゆるレベルにおいて、効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。

目標17)実施手段:パートナーシップで目的を達成しよう

開発が遅れている国への投資を進めるための仕組みを考え、実施。また、お互いに合意した条件で、全世界的な技術を進めるための知識の共有を行う。

超スマート社会を目指す「Society5.0(ソサエティ5.0)」とは

Society5.0とは、簡単にいえば、AIやロボット、ICTなど最先端の技術を使って、私たちがより快適な生活を送ることができる超スマート社会のことだよ。超スマート社会とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義づけられているんだ。

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つまり、Society5.0とはAIやIOTなどの新しい技術を活用することで、僕たちの暮らしを今以上に快適にしつつ、貧困や気候変動といったあらゆる社会課題を解決しようと目指す取り組みのことなんだね。

ちなみに、これまでの社会はそれぞれ、狩猟や採集を生活基盤としていた原始的な「狩猟社会(Society1.0)」、作物を育てて収穫することで人々が生計を立てていた「農耕社会(Society2.0)」、機械製品の発展によって工業化が進んだ「工業社会(Society3.0)」、ネットワークが浸透した「情報社会(Society4.0)」の順序で進化・発展してきたと、内閣府は明文化しているんだ。

現在はSociety4.0によってあらゆるものがシステム化され、快適な暮らしはできているものの、一方では「ネットで情報検索をしても本当に知りたい情報にたどり着くまでに時間がかかる」といった課題はまだ解決されていないよね。Society5.0では、IoTによってデジタル空間に集められたビッグデータをAIが素早く処理し、フィジカル空間にいる私たちに必要なものだけを届ける社会を目指しているんだよ。

なぜSociety5.0の推進が必要なの?

SDGsが実現しようとしているのは「食糧問題や環境問題、雇用問題などのさまざまな課題が、すべての国、すべての人々、およびすべての部分で解決できるよう、誰一人取り残さない」という社会。そのためには最新のテクノロジーを活用してあらゆる社会課題を解決していく「Society5.0」の推進が欠かせないんだ。

だから日本政府は「SDGsアクションプラン2021」において「Society5.0の実現を目指してきた従来の取組を更に進めると共に、デジタルトランスフォーメーションを推進し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる体制を整備し、「新たな日常」の定着・加速に取り組む」と掲げているし、経団連は「Society5.0 for SDGs」というコンセプトを示して取り組みに励んでいるんだね。

日本のデジタル庁も「Society5.0」の実現に動き出す、どんなことが実現できるの?

例えば、これまで地方に住む高齢者は「運転ができない」「買い物に行けない」などといった課題を抱えていた。しかし、ドローンが普及すればいつどこにいても通販で買い物ができるようになるかもしれないし、自動運転が浸透すれば誰もがスムーズに移動ができるようになる。また、ロボットの技術が進めば年齢や障害による労働や行動範囲の制約もなくなっていくだろう。

ドローン配達を体験している女性

Adam- stock.adobe.com

最新技術を活用すれば、即時通訳が可能な機器をつけて言語による分断をなくすことだってできるかもしれないんだ。

日本政府は「Society5.0」が与える新たな価値を、次のように紹介しているよ。

  • 交通

天気や飲食などのリアルタイムな情報と過去の履歴といったビッグデータをAIが分析し「天気や混雑を考慮した最適な計画が提案され、旅行がしやすくなる」「カーシェアや公共交通の組み合わせで移動がスムーズに」といったことが実現できる。これによりCO2排出削減や消費の拡大につながる。

  • 医療・介護

個々人のリアルタイムの生理計測データや医療現場の情報などをAIが解析し、「リアルタイムの自動健康診断で健康促進や病気を早期発見できる」「医療データの共有でどこにいても最適な治療を受けられる」「ロボットによる支援で医療・介護現場の負担軽減ができる」といったことが可能に。医療現場の人手不足解消や医療費のコスト削減につながる。

  • ものづくり

顧客や消費者の需要、配送情報などをAIが解析することで「ニーズに対応したフレキシブルな在庫管理・生産計画の実現」「物流の効率化」などが実現可能に。顧客満足度の向上はもちろん、消費の活性化や二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス(GHG)排出削減にもつながる。

  • 農業

気象情報や農作物の生育情報、食のトレンドなどをAIが解析し、「超省力・高生産なスマート農業の実現」や「ニーズに合わせた収穫量の設定、天気予測に合わせた最適な作業計画」「販売先の拡大」などが可能に。食料の増産や安定供給、食料のロス軽減につながる。

  • 食品

個人のアレルギー情報や各家庭の冷蔵庫内の食品情報、店舗の在庫情報などをAIが解析し、「嗜好に合わせた食品の提案で購入の利便性が向上」するほか、「冷蔵庫の食材管理によって食品ロスの軽減」や「家族の嗜好や健康状態に合わせた料理の提案による快適な食事の実現」が可能になる。

  • 防災

人工衛星やドローンによる被災地観測、道路の被害情報といったデータをAIが解析し、「個人のスマホを通して一人一人へ正しい避難情報が届けられる」「アシストスーツや救助ロボットの開発により迅速な救助が可能になる」など、被害の軽減や早期復興を図ることが可能になる。

  • エネルギー

発電所の稼働状況や各家庭での使用状況をAIが解析することで「的確な需要予測や気象予測を踏まえ、安定的にエネルギーを供給すること」や「水素製造や電気自動車を活用したエネルギーの地産地消」などが可能になる。エネルギーの安定供給をはじめ、環境負荷の軽減につながる。

2021年9月に発足された「デジタル庁」は、Society5.0の実現に向けて「業種や省庁ごとの縦割りを打破し、デジタルアーキテクチャ(データやシステム同士を連携すること)を実装していくことが重要」だとしている。これらの未来が現実になる日は、そう遠くないのかもしれないね。

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持続可能な未来は「Society5.0」がつくる

AIやロボットの話題が出ると、人間がこれまで行ってきた作業を担うという点で「ロボットに支配されるような未来」「自分たちの仕事がなくなって絶望的な未来」を想像する人もいる。でも、それは大きな勘違いかもしれない。

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だって、AIやロボットの最新技術が発展すれば今回紹介したような多くの人が感じてきた不満が解決されるかもしれない。そうすれば、私たちはさらに質の良い快適な生活を送ることができるんだよ。つまり「Society5.0」によって「SDGs」が達成される未来は、活力に満ちた人間中心の社会というわけだ。そう考えるとこれからの技術革新が楽しみになってくるんじゃないだろうか。目覚ましいスピードで変わっていくこれからの時代の波に乗り遅れず、一緒に見守り、乗りこなしていこう!

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