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「AI人材不足の解消に」AI導入前に読んでおきたい、おすすめの本3選

本を読む男性

企業のDX推進に欠かせないテクノロジー、人工知能(AI)。AIの開発において日本は世界に比べて周回遅れと指摘されているが、国内企業におけるAI導入事例を見聞きする機会も増えてきている。そんな中、これからAI人材を目指す方、自社にAIを取り入れようとしている方、中小企業におけるAIの活用事例を知りたいという方に向けて、自社でAIを導入するにあたって知っておきたい基礎知識や事例、実際の手順をわかりやすく紹介している3冊の書籍を紹介する。「AI人材になるには…」と漠然と考えている人は、この3冊を参考にしてほしい。

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小売り、教育、医療など多方面にわたるAI戦略を知りたい方に、「デジタルマーケティング2.0 AI×5G 新・顧客戦略」

小売店でのAI活用例

出典:Feodora- stock.adobe.com

本書は、AIと5Gが普及しつつある現代において、どういったデジタルマーケティング戦略を練るか、業種別・部署別に解説した一冊だ。AIを活用して戦略をどう立てるか悩んでいる方、他業界の動向も一通り知っておきたいという方は、ぜひ手にとっていただきたい。

5Gの通信環境によってAI活用度が高まり、これからはあらゆるモノや人が常にオンラインの世界とつながることが前提の社会へと変わっていくことが予想される。先端技術とAIを組み合わせた顧客戦略や取り組むべき施策が、小売店、教育サービス、医療機関、生命保険、不動産仲介、家電業界など全38業種にわたって解説されている。

例えば、小売業界においては、AIカメラやスマートカート導入による運営コストの削減、顔認証などによるシームレスな決済、AIによる発注支援や店内での顧客行動の把握などによって、新たな購買体験の提供を目指すことを推奨している。

中国の大手ECサイトを運営するアリババや京東(ジンドン)が手掛ける次世代スーパーなどの先進事例も紹介されており、「これらの店舗に共通するのは、顧客のニーズを多面的かつ徹底的に分析するところから始めたことである。また、将来的にはその分析をもとに顧客をリアルタイムに識別するだけでなく、パーソナライズしてリアルタイムにレコメンドしていくことになる」と今後小売店で必要となる戦略について分析している。(P.48 「PART3.業種別ソリューション」より)

スーパーマーケットでのAI活用

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さらに業種別だけではなく、部署別(機能別)にも解説されているのが本書のポイントだ。商品企画、販促、カスタマーサポート、物流とそれぞれの部門ごとにどういったAIの活用事例があるかといったことが具体的に解説されており、一歩踏み込んだ内容が提示されている。

本書の最後には、AI活用をすすめるにあたって障壁となる3つの課題「感情、価値観、貧富の差といったデータとして捉えにくい個人差への対応」、「AI活用に関する企業の意識や環境整備」、「個人情報・プライバシー保護」への対応策もあげられているので、参考にしていただきたい。

<書籍の詳細>
・書籍名:デジタルマーケティング2.0 AI×5G時代の新・顧客戦略
・著者:安岡 寛道、稲垣 仁美、木ノ下 健、松村 直樹、本村 陽一
・発売日:2020年2月25日
・価格:1700円(税抜き)

中小企業でもAI導入できるのかと悩む方に、「小さな会社でも今すぐ始められる『人工知能』導入の実践ステップ」

AI開発について話し合うチーム

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「AIは費用が高すぎて大企業にしか導入できない」と思っている方、上司から「AIを活用した新しいサービスを考えるように」と指示されて戸惑っている方、他社の事例などを調べたが、うまく自社に適応できそうになくて困っている方にはぜひ本書をおすすめしたい。

本書は、歴史の浅い会社や事業規模の小さい会社にも可能な、AI活用によって競争力を高めるための具体的な方法を提示する解説書になっている。現在実現されているAIはどのようなものか詳細に説明されており、AIが得意なことは「部分的な自動化」であるとして、AIにできる自動化を5種類に分けて解説。キュウリ農家や老舗の食堂など小さな企業の事例も多く、企業が抱える課題をAI活用により、どのように解決したのかが詳細に紹介されている。

また、AIの実証実験まで行ったものの、実際の導入には結びつかずプロジェクトが空中分解してしまった…といった陥りやすい失敗についても触れ、AI活用を成功させるには「イシュー指向型」という考え方・手法が重要だと解説する。「人工知能はインストールしてすぐに使えるものではないため、その目的に応じて作り変えていくことが必要だし、目的に応じたデータを収集することも必要である。そのため、『どのようなイシュー(課題)を解決するために人工知能を適用していくか』を考えることが重要になる」と、AI活用のためには、解決すべき本質的な課題を見極め、それを起点にAI導入を進めていくことが重要なのだそうだ。(P.12「序章 AIで「競争優位」を生み出すために」)

また、AI導入にあたっては自社だけで完結するケースは少ないとして、パートナー企業の選び方、実際にかかる費用や少ない費用でAIを導入する方法についても解説されている。その他、AIについて理解を深めるために自分のパソコンでAIを体験することを推奨しており、その具体的な手法についても詳細に紹介されているため、ぜひ本書を片手に試していただきたい。

<書籍の詳細>
・書籍名:稼ぐAI小さな会社でも今すぐ始められる「人工知能」導入の実践ステップ
・著者:中西 崇文
・発売日:2019年7月19日
・価格:1500円(税抜き)

文系なのにAI担当を任命された方に、「文系AI人材になる

AIイメージ

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文系なのにAIの担当を任されてしまった方におすすめしたいのが「文系AI人材になる」だ。データサイエンティストやAIエンジニアのようなAIを「作る」側ではなく、AIを「使う」側のビジネスパーソンにとって必要な基礎知識や事例、AIに関する企画力を磨くための具体的な方法を解説している。

「AI作りがカジュアルになったり、構築済みAIサービスも増加している今、『AIをうまく使う』人材、つまり、ビジネスや業務知識にくわしく、かつAIにも精通した人材がより重宝される時代に入ったのです」とAIを使うケースが増加している今、多くのビジネスパーソンにとってうまくAIを使えることがキャリアアップにつながると指摘する。(P.62 「第2章文系のためのAIキャリア」より)

本書では、AIを活用する企画立案力が重要になるとして、企画内容の精度をあげるための方法を数多く紹介している。その内の1つを例に挙げてみると、企画時に「誰のためのAIか」ということを考えることが重要なのだという。まずは顧客、従業員、取引先のいずれかに対象を絞り、その中でさらに細かく対象を絞り込むべきとしている。

例えば、顧客を対象とした企画を考える場合は、「顧客の中でも特にどういった人にAIによる価値を提供したいのか、どの人の課題や不便を解決したいのか?を明確にしていきます。『コールセンターに問い合わせをしてくださる昔からのお客様』や『商品を買うのに迷っているお客様』などのレベルで想定しておくのもよいでしょう」とAIを提供する対象者を起点に企画立案する重要性を説いている。(P204.「第5章AI企画力を磨く」より)

また本書では、プログラミングや統計の知識がなくてもわかるAIの構築方法が解説されており、本書を読めば自社にどのようなAIが必要で、どのように導入すればよいかがわかるようになるだろう。

<書籍の詳細>
・書籍名:文系AI人材になる 統計・プログラム知識は不要
・著者:野口竜司
・発売日:2019年12月20日
・価格:1600円(税抜き)

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読了後はすぐAI導入に動き出そう

1冊目は「AIを活用して、どのような戦略を立てるのか」、2冊目は「中小企業がAI導入をするなら、どのようなステップで進めていくか」、3冊目は「文系でもAI人材になるための方法」という内容を紹介した。今回ご紹介した3冊はいずれも、自社にAIを導入するためには何をすればよいのか具体的な手順が詳細に記されている。すぐにでも取り掛かれるものも多いため、ぜひ自社の取り組みに活かしていただきたい。

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西日本新聞メディアラボ・AIソリューションズ(略称:N-AIs/ナイズ)は、西日本新聞グループのデジタル事業会社、株式会社西日本新聞メディアラボと、山口大学発のシンクタンク&コンサルティング会社、株式会社MOT総合研究所の共同出資で設立した、AI活用のトータルソリューションを提案する会社です。慶應義塾大学発・小売り企業向けAI開発のトップランナー”SENSY株式会社”などの企業と連携し、DXを進める九州・中国・四国エリアのAI導入、AIを活用した課題解決をサポートしていきます。

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