サブスク2.0から3.0に変わればメリット多い?1.0や定額制との違いも解説
近年、私たちの買い物体験が変わりつつある。「定額で音楽を聴き放題」「月額で動画が見放題」などといったサブスクスクリプション(サブスク)が増えている。今や衣食住のあらゆる場面で広がるサブスク。2020年現在は「サブスク2.0時代」と呼ばれているが、これからの時代は「サブスク3.0」へ入ろうとしている。そもそもサブスク2.0と1.0、3.0の違いは何なのか、既存の定額制ともどのような違いがあるのか…。今後さらに市場が拡大すると予測される「サブスク」の仕組みと事例を紹介する。
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目次
サブスクリプションは、昔からあった
サブスクリクションとは、「製品やサービスに対して額料金を支払うことで、一定期間利用することができる」ことを意味している。サブスクを一気にメジャーに押し上げたのは、「Netflix(ネットフリックス)」や「Spotify(スポティファイ)」に代表される定額での「見放題」「聴き放題」の映像・音楽サービスだ。私たちは、CDやDVDを買わずに、好きなときに好きな場所で、そのときの気分で気軽に作品を楽しむことができるようになった。もし作品が気に入ったら、勝手に別のおすすめ作品も教えてくれるし、定額ならではの選択肢から選ぶ楽しさもあったりする。
そもそも、サブブスクリプションとは、「定期購買」を意味する。実は日本人にとっては、昔からある馴染み深いサービスであり、その例に「新聞の購読」「携帯電話」「月極めの駐車場」などが挙げられる。
しかし、ここ最近の潮流となっているサブスクは、既存のそれとはやや違う。食事、洋服、車、オフィス…。これまで購入しなければ手に入らなかった商品やサービスが、次々とサブスクで「選び放題、○○し放題」で利用できるようになっているのだ。
矢野経済研究所の 調査によると、国内のサブスク市場規模が2019年度には6835億円に上り、20年度はさらに15.2%増の7873億円まで膨らむと予測されている。さらに、23年度には1兆円の市場規模になるともみている。これまで以上に多くの企業が、サブスク市場への新規参入を狙っているようだ。
こうした市場が広がる背景には、消費者の志向の変化が影響している。少子高齢化に伴う人口減少により、そもそもモノが売れる時代ではなくなってきた。若者の車離れに象徴されるように、生活者の「所有」することへの欲は減退し、「シェア」することに価値が見出されつつある。サブスクモデルのビジネスを構築することで、所有しなければ得られなかった価値に手が届くようになった。さらには、その価値のバリエーションが増え、選べるようになってきているのだ。
2020年は「サブスク2.0」 そもそも定額との違いとは
サブスクはその特徴によって分類される。新聞の定期購読や配達牛乳などの月額サービスは「サブスク1.0」。 売り手に裁量があり、消費者側は、まとめ買いによって料金の割引が受けられる。現在の潮流となっているのは「サブスク2.0」。1.0とは何が違うのか。 一番の特徴は「商品の利用」に対して料金を払うシステムであること。利用者の「○○したい」「△△へ行ってみたい」という顧客の欲求を満たす体験の提供を目指している。
また、商品利用者の好みに合わせて、パッケージや料金が複数設定されている点も特徴の一つ。利用者側が自由に選択することができるようになっている。そのため、商品やサービスが頻繁に入れ替わるものも多く、利用者の継続が高まり、企業側にとっては安定的な収益となりやすい。一方で、企業側は、いかに利用者それぞれのニーズを汲み取り、提案できるかが問われることにもなる。
【サブスク事例】高級バッグが使い放題サブスク、継続率は90% 超
では、どんなサブスクのサービスがあるのか。具体例を簡単に紹介したい。
1つめは高級ブランドバッグが使い放題のサービス「ラクサス(LAXUS)」。エルメスやグッチ、シャネルといった高級ブランドのバッグを、月額6800円(税抜き)で借りることができる。3万点以上の中から好きなバッグをいつでも借りることができ、飽きたら別のバッグに交換できる。手が届かないと思っていた高級ブランドバックを、「シェアする」ことで日常的に手にすることができるのだ。毎月定額の有料会員は2万人を超え、会員継続率は90%以上という好評ぶり。AIを活用して退会するタイミングなどを分析し、会員に対してしっかりとケアをしていることも大きい。
最近では、高級バックを所有している会員が、有料でラクサスに貸し出せるサービスも始めており、「シェアリングエコノミー」の先端を走っている。
【サブスク事例】国内外の300拠点で住み放題のサブスク
出典:olezzo- stock.adobe.com
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次に紹介するのが「住居やオフィスの借り放題」だ。1箇所の住居やオフィスを賃貸するのではなく、「国内外の多拠点を好きに住み放題」というサービスを展開している。その一つが、サブスク型住居サービス「HafH(ハフ)」。月額8万2000円(税込)で、国内外の約300の提携拠点で「自由に住み放題」ができるサービスだ。利用プランには、月5日間で1万6000円、10日間で3万2000円、2日で3000円と短期利用・お試し向けもある。
ハフが提供するのは「コリビング」というライフスタイルだ。コリビングとは、職住一体の共同住宅のこと。シェアハウスのように複数人と生活し、コワーキングスペースのように職場も他の人とシェアをする。いろんな拠点に住むことで、その地域や人とのつながりができるという魅力もある。リモートワークができる仕事なら、まさに「旅するように生活する」ことができ、仕事と生活はどんどんシームレスに柔軟になっていく可能性を秘めている。
さまざまな業種で広がるサブスクは、今後は「3.0」への進化を目指している。それは、ユーザーの嗜好や利用状況に合わせ、パーソナライズ化、カスタマイズが進む双方向性型のサービスになっていくことだ。そのためには、当然ながら、ユーザーの消費傾向などを解析するためにAIやIoTの積極的な活用による仕組み作りも求められていくだろう。
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