【超音波ソナーを活用】シールドマシン背面計測システムの開発
鉄建建設株式会社
~ シールド掘進しながら掘削断面を連続測定 ~
鉄建建設株式会社(本社:東京都千代田区、社長:伊藤 泰司)は、シールドトンネル工事において超音波ソナー技術を活用し、マシン背面の地山を連続的に計測することで、密度変化領域を可視化するシステムを開発しました(特許 第7256093 号)。
このシステムにより、掘進中のシールドマシンにおいて、背面地山状況をリアルタイムにモニタリングでき、シールドトンネル工事の生産性と安全性を向上させることが可能となります。2024年2月から施工中のシールドトンネル工事(東京都の公共下水道工事)に導入し実用性を確認いたしました。
開発の経緯
2020年にシールドトンネル工事で地表面に影響を与える事象が発生したことから、国土交通省が再発を防止するために「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」策定しました。ガイドラインでは、切羽土圧・排土量を高精度かつリアルタイムに管理する等、施工の高度化を図り、シールドトンネル工事の更なる安全性の向上と周辺地域の安心を確保することが求められています。
システムの概要
本システムは、超音波ソナーをシールドマシン内面に取り付け(上部 図-1)、ソナーから地山に向けて照射される超音波の反射波を計測することにより、マシン背面の密度変化位置(ほぐされた領域[泥土]とほぐされていない硬い領域[地山]との境界位置)を掘進中に常時計測するものです。
本システムで取得したデータを切羽土圧管理・加泥材注入管理・裏込め注入管理へフィードバックすることで、地質変化等に応じた安全で確実な施工が可能となります。なお本システムは、シールドマシンに特段の加工を施す必要が無く導入でき、超音波ソナーが故障した場合でも簡単に機内から交換できる利便性も兼ね備えています。
今後の展開
今後は、崩壊の危険性が高い地山や小土かぶりの路線、鉄道営業線の横断、重要構造物との近接施工等、周辺地域への影響が特に制限される場合を中心に、他現場へも順次導入展開していく予定です。
当社は、坑内Wi-FiとAIカメラシステムを用いたバッテリー機関車(サーボロコ)の自動無人化運転システムをはじめとした各種施工支援システムなど、開発済みのシステムと併用して、シールド工事の生産性と安全性向上に取り組んで参ります。
鉄建建設について
鉄建建設株式会社様は、1944年に日本の陸運輸送力の確保と増強のため鉄道建設専門の国策会社として設立されました。以来、全国交通網の構築、地域振興、人々の住みやすいまちづくりに貢献しながら、事業を拡大しています。