社会信用システム

社会信用システムとは、中華人民共和国政府が全国民をランク付けし、「信用度」をスコア化するシステムのこと。ランクに応じた賞罰を行うことで人々の行動を道徳的にし、社会秩序を向上させることを目的に導入がすすめられている。

国民をランク付けする方法として、各地方政府が収集した行政処罰や司法判決、交通違反の情報、社会保険料の未納や滞納などの情報がデータ化された「全国信用信息共享平台」(中国全国信用情報シェアプラットフォーム)」を活用している。こうした情報もとに国民一人ひとりがスコアをつけられ、スコアが低いと航空機や高速道路の利用禁止、私立学校の入学排除、ホテル利用禁止、インターネット回線速度の低下、ローン申請の却下、投資の制限などさまざまな制限が設けられる。これとは逆に信用スコアが高い場合は、税金の優遇、公共交通機関の利用料金の優遇、大学入学や就職における優先措置、公共住宅への優先的な入居が可能になるなど、さまざまな特権を受けることができる。

信用スコアの最高点は1300点、最低点は600点(2020年時点)となっており、最初は1000点からスタート。公共料金の滞納やペットの糞の処理、信号無視、献血の有無など、あらゆる行動が個人信用システムに記録され、日々スコアが変動する仕組みになっている。ちなみに中国で5億人以上が利用しているといわれるモバイル決済アプリ・アリペイの「芝麻信用(じーましんよう)」は、中国政府の信用スコアと連携しており、政府・民間とともに社会信用システムの構築を進めている。