「DXで変わる!北九州の企業」シリーズ⑨らくぷらすラボ編
北九州市の中小企業では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進む。シリーズ第9回目はらくぷらすラボの事例を紹介。
通販サイトで情報発信し顧客とのコミュニケーションを
わたなべ佳美代表が考案したオリジナルアイテムを商品化する「らくぷらすラボ」。2017年に開業し、自社で運営するネット通販サイトや大手ショッピングサイトで商品を販売している。
顧客とのコミュニケーションが図れる交流サイト(SNS)や動画で情報を発信し、顧客の要望に耳を傾けて商品作りに生かしたいという、わたなべ代表。マーケティングの知識を生かして、使う人にとってもっと役立つ商品の開発を目指している。
SNSや動画を効率的に作りたい
わたなべ代表が開発したヒット商品は、パソコンのマウスやゲームコントローラーの操作などをする際に指先だけが出せる手袋。販売開始から3年ほどたった頃、クラウドファンディングで多くの人から支援を受けて製造・販売し、大手ショッピングサイトでも販売数を伸ばした。
今後も新商品の開発を続け、販売していくには、情報発信のスピードが重要になる。そのためにはSNSや動画を効率的に活用したいと考えた。
まずはマーケティングの知識から
効率よく情報発信業務をするためのツールなどを知るために、北九州市ロボット・DX推進センターの支援事業の利用を決めた。
専門家として支援を担当したのは、マーケティング支援会社「KACHI」の久野高司さん。わたなべ代表から現在の目標やターゲット層、顧客へのサービスなどを聞き取り、次の内容を支援した。
❶WebサイトやSNSや動画ツールなどを活用するために、マーケティングの知識をレクチャー |
❷❶で明確になった課題から事業の方向性を整理 |
❸マーケティング戦略の整理 |
❹WebサイトやSNSの選定、アカウント運用の方針、動画の撮影・編集方法などをレクチャー |
マーケティングの知識は専門用語などをなるべく避け、図解で分かりやすく伝えるように心がけたという久野さん。その上で、わたなべ代表の目的に沿った方法を一緒に考え、WebサイトやSNSアカウントを整理して最適化した。
目的を明確にして次のステップへ
わたなべ代表はマーケティングの知識を得たことで、次のステップを見失い壁にぶつかっていたことに気付いたという。「(SNSなどを活用するのは)サイト上でもリアル店舗で接客するように商品を説明する、お客さまの要望を聞いて商品を改良するなどができるから。その達成すべきステップがクリアになりました」と喜びの表情を見せる。その手段の一つとして、若いターゲット層向けに動画を撮影・編集して公開した。
今後の目標は、最近開設した商品開発サイトで顧客とコミュニケーションすること。「試作品の使用感や色の組み合わせなどお客さまの意見を聞いて、一緒に商品を開発・改良していきたい」と胸を膨らませている。
支援者メッセージ 株式会社KACHI(センター登録専門家)久野高司さん
デジタルツールを使いこなしてほしい
マーケティングには業種、地域を問わず共通する考え方があることと、デジタルツールは便利だけど手段でしかないことをまず伝えました。その理解が深まったところで、わたなべさんのケースやデジタル化の目的に沿った情報発信の方法を一緒に考えました。
支援後にはSNSアカウントの整理や動画編集ツールの活用も進んでいるようですし、とてもうれしいです。今後は目的に合わせて、デジタルツールを道具として使いこなしていってほしいです。
株式会社KACHI
住所:福岡市博多区千代4丁目29-49-5 URL:https://kachi-kobo.biz
事業内容:マーケティング・ファイナンス・人材マネジメントの専門ノウハウの提供 ほか
実用品プランナーのわたなべ佳美代表が2017年に創業。ありそうでなかった快適グッズや少数派のニーズに応える便利アイテムを考案、商品化して通信販売している。商品化した後も改良を重ね、より使い勝手のよい実用品作りを目指している。
らくぷらすラボ
代表者:わたなべ佳美
住 所:北九州市八幡西区上上津役3丁目11-25 URL:https://rakulabo.stores.jp
動画公開中 DXで変わる!北九州市の企業⑨らくぷらすラボ編
このDX推進をサポートしているのが「北九州市ロボット・DX推進センター」
公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市 ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。
導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。
今回紹介しているDX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAI・IoT等、ITツールを取り入れた新しい ビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。