事例

「DXで変わる!北九州の企業」シリーズ⑦北九州自由高等学院編

北九州市の中小企業では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進む。シリーズ第7回目は北九州自由高等学院(クラーク記念国際高等学校連携校)の事例を紹介。

ネットワーク環境を整えパソコンも更新、授業を快適に

 1998年に創立した「北九州自由高等学院」は、福岡県教育委員会指定の技能教育施設で、現在は2コースに約160人の生徒が在籍。不登校の生徒を受け入れる学校として西日本でも長い歴史と実績を誇っている。
近年は授業はもちろん、あらゆるシーンでインターネット接続の機会が増え、Wi-Fi環境の不備やパソコンの性能不足が顕著に。授業にも大きな支障をきたすようになり、木附菊二理事長はデジタル環境全般の改善に取り組んだ。

不安定なWi-Fiと性能不足のパソコン

パソコンを使って学習する生徒たち

現在、同校では約80人が同時にパソコンを使用している。Wi-Fi環境は校舎建設時に整備していたものの、同時接続数の限界を超えており、生徒から「不安定で使いにくい」という声が上がっていた。また、生徒が使うパソコンの性能も不足していて、Wi-Fi環境を改善するだけでネットワークの問題が解決できるわけではないことも分かっていた。
キャンパス長の齋藤比呂志さんは、デジタル化に関する知識が不足していて、学校内部では対処できない点をどうしていくか模索していた。

パソコン調達の経費削減策を提案

齋藤さんは周囲に相談するうち、北九州市ロボット・DX推進センターの存在を知り、支援事業の利用を決めた。
システム開発会社「タイズ」の上原啓泰さんが専門家として派遣され、現状を確認した上で、次の内容を支援した。

❶パソコンとネットワーク環境の現状を精査し、ふさわしい環境のための費用感などの提示
❷パソコンは約35台を入れ替え、その他のパソコンは部品を交換して性能不足を解消
❸一般家庭向けのインターネット回線をオフィス向けに切り替え、Wi-Fiルーターを増設

生徒はいつでもネット検索できるように

上原さんはネット回線速度のデータを取りながら、校内のどこにどのレベルのルーターを増設すればよいかを提案。導入費用をできるだけ抑えるために、パソコンは市内の企業の協力を受けて調達した。パソコンの性能アップのための部品交換は生徒から希望者を募って一緒に行うという新たな取り組みにもチャレンジした。

デジタル化で生徒の視野が広がる

改善後は80人全員が同時に接続できるようになり「Web動画の視聴が必要な授業や課題にスムーズに対応できるようになりました」と、齋藤さんは喜びの表情を見せる。また、文部科学省が進める「GIGAスクール構想」(全国の児童生徒が1人1台端末を活用できる教育環境の整備)に準じることも想定している。
木附理事長は「教育の基本は対面授業」としながらも「インターネットによって遠方の教師とも対面に近い関わりが可能になり、オンラインで生徒と関わっていくことが増えていく」ことに期待。生徒が一斉に専門家や研究者の話を聞く「オンラインセミナー」にも参加し、デジタル化で生徒の視野が広がっていくことを実感。「生徒たちのために環境を整えていくのが私たちの使命」と、さらなる環境整備に意欲的だ。

支援者メッセージ 株式会社タイズ(センター登録専門家)上原啓泰さん
IT教育の一環、生徒と共に設定も

  校内の通信環境を調べたところ、Wi-Fiの電波が届きにくいエリアがあるためルーターを増やし、一般家庭向けのインターネット回線がウイークポイントと判断して、2パターンの改善案を提示しました。
生徒と一緒に行うパソコンの部品交換などを提案したのは、IT教育のきっかけになればという思いからでした。パソコンのリサイクル活動などに興味を持てばSDGsの考え方もより理解できるでしょう。教育現場なので生徒の将来につながるような提案もできてよかったと思っています。

株式会社タイズ
住所:本社・九州支店/北九州市戸畑区飛幡町2-2飛幡ビル6階 URL:https://ties.jp/index.html
事業内容:社会インフラシステムの開発・保守支援、業務用アプリケーションの開発・保守 ほか

 「生徒一人ひとりに寄り添い伸ばしていく/自立できる大人への育成」を教育理念に掲げ、不登校の生徒を受け入れる学校として1998年に創立。99年に福岡県から指定技能教育施設の認可を受けた。全日と週1日の2コースがある。

北九州自由高等学院
(クラーク記念国際高等学校連携校)
代表者:理事長 木附菊二
住 所:北九州市小倉北区弁天町2-8 URL https://jiyuugakuin.com

 

 

動画公開中 DXで変わる!北九州市の企業⑦北九州自由高等学院編

このDX推進をサポートしているのが「北九州市ロボット・DX推進センター」

公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市 ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。

導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。

今回紹介しているDX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAIIoT等、ITツールを取り入れた新しい ビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。

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