事例

「DXで変わる!北九州の企業」シリーズ⑤ふじた

北九州市の中小企業では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進む。シリーズ第5回目はふじたの事例を紹介。

オンライン商談で販路回復、ネット通販の拡大も視野に

 小倉名物のぬかみそだきを製造し、旦過市場の店舗をはじめ、市内外の百貨店やスーパーなどで販売する「ふじた」。2003年の創業当初、旦過市場の店舗内で藤田浩三社長の作るイワシやサバのぬかみそだきの味が評判となり、現在は門司区に本社工場を構え、新商品の開発などにも力を入れている。
2020年春にコロナ禍の影響で販路拡大の商機が絶たれてしまい、藤田社長はオンライン商談を取り入れ、立て直しを図った。

コロナ禍の影響で直接対面の商談できず

本社工場内の製造風景

北九州食の認定ブランド「百万の息吹」に認定されている、ふじたのぬかみそだき。小倉生まれの食文化を全国に広めようと、北九州商工会議所主催の商談会に出展したり、藤田社長自らが遠方の取引先に出向いたりして販路拡大に努めていた。だが、2020年4月以降はコロナ禍で行動制限が敷かれ、以前のような商談ができなくなった。
藤田社長は商工会議所の商談会がオンラインに変わっているのを見て、「これからはオンラインのシステムが必要になるのかな」と感じた。

オンライン会議ツールの使用法習得

取引業者からオンライン商談の要望を受けたこともあり、藤田社長は市の担当から紹介された北九州市ロボット・DX推進センターの支援事業に依頼した。
専門家としてシステム開発会社「リンクソフトウエア」の矢野宏之さんが支援を担当。パソコンはメールと会計ソフトを使う程度という藤田社長と事務の渡邊陽子さんに、次の内容を支援した。

❶オンライン会議に必要なアプリ・機材の内容・費用感の提示
❷オンライン会議ツールのゲスト側、ホスト側の使用方法の説明
❸スケジュールや文書の管理、掲示板などのアプリを備えたクラウド型グループウェアの紹介

パソコンの前に座る藤田社長と映り方を確認する渡邊さん(右)

細かな使用手順を記したメモも用意した矢野さん。それを確認しながら習得していく藤田社長と渡邊さんの意欲を見て、矢野さんは手応えを感じた。

デジタル化の必要性を新たに認識

3回目の支援時には、矢野さんの遠隔サポートを受けながら藤田社長と渡邊さんが自らWeb会議を実践。「セッティングがもどかしい状態でしたが、矢野さんに一つずつ丁寧に指導してもらい、つながったときはとても感動しました」と渡邊さんは喜びの声。
藤田社長は「電話でサンプルをお見せすることはできませんが、画面越しなら提示でき、商品の良さが分かりやすく伝わると相手にも好評です。また、取引先の複数店舗への個別説明もオンライン化により効率的に行えて、説明のばらつきを防ぐ効果もあります。これまで取引のなかった地域からも新たに問い合わせいただき、商談が進んでいます」と話し、商売の間口を広げるためにもデジタル化が必要だと認識を新たにした。
今後はさらにホームページを充実させ、インターネットを通して、守り継がれたぬかみそだきの魅力を全国に発信し、販売増にもつなげたいと考えている。

支援者メッセージ リンクソフトウエア株式会社(センター登録専門家)矢野宏之さん
商談のメリット大きいオンライン会議

 お二人とも汎用的にパソコンを使われているということではなかったので、オンライン会議ツールもあまりハードルが高くないものを提案しました。新しいものを取り入れようと意欲的でしたし、お二人のように前向きな姿勢の人たちの力になれると、やりがいを感じます。
オンライン会議は、画面越しではありますが、移動せずにその場で会話ができます。藤田社長のように全国各地に出向いて商売されている場合は、移動の費用も時間もかからないので、大きなメリットだと思います。

リンクソフトウエア株式会社
住所:北九州市小倉北区吉野町10-30-201 URL:https://www.link-software.co.jp/
事業内容:コンピューターシステムやソフトウェアの開発、ホームページ制作、セミナー運営 ほか

 2003年に旦過市場に開いた惣菜店から、ぬかみそだきの専門店へ。保存料を一切使わず、丹念に炊き上げたぬかみそだきは08年に北九州食の認定ブランド「百万の息吹」に認定された。現在は門司区松原の本社工場で製造し、市内外の百貨店やスーパー、ネットなどでも販売。

株式会社 ふじた
代表者:代表取締役社長 藤田浩三
住 所:北九州市小門司区松原3丁目4-6  URL:https://nukamisofujita.com/

 

 

動画公開中 DXで変わる!北九州市の企業⑤ふじた編

このDX推進をサポートしているのが「北九州市ロボット・DX推進センター」

公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市 ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。

導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。

今回紹介しているDX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAIIoT等、ITツールを取り入れた新しい ビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。

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