「DXで変わる!北九州の企業」シリーズ④不動産中央情報センター
北九州市の中小企業では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進む。シリーズ第4回目は不動産中央情報センターの事例を紹介。
顧客向けのセミナーや物件内覧、社内会議などにオンライン活用
180人が勤務し、市内外に9店舗を構える「不動産中央情報センター」。賃貸・売買物件の仲介や資産活用といった不動産管理をはじめ、住宅型有料老人ホーム「ゆうゆう壱番館」の運営や浄水器のFC事業など幅広い事業を展開している。
濱村美和社長率いる同社では、以前から業務の課題解決に向けてデジタル化を進めていたものの、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発出された2020年4月以降、加速させる必要に迫られた。
コロナ禍の中で急務となったデジタル化
2019年、課題解決に向けて部署ごとにテーマを設け、3年間のプロジェクトをスタートさせた。社員自らが考えて課題解決に取り組むことが大きな目的で、デジタル化をテーマにした部署もあり、徐々に進みつつあった。
デジタル化が急務となったのは、プロジェクトを始めて1年足らずのこと。コロナ禍の影響で顧客に会えない、社員同士もなかなか会えず店舗間の行き来もできないという状況が発生したためだ。
オンラインでセミナーや情報共有
濱村社長は、顧客向けのセミナーと社内コミュニケーションにオンラインを活用したいと考え、北九州市ロボット・DXセンターの支援事業の利用を決めた。
専門家としてシステム開発会社「タイズ」の上原啓泰さんが派遣され、次の内容を支援した。
❶オンラインセミナーや相談会を実施するための運用案、必要機材について紹介 |
❷オンライン相談会で既存のサービスやアプリを利用する際に考慮する点などを案内 |
❸社内の情報共有の方針やルール策定の事例、現状分析の方法案などの提供 |
社内にある課題をはっきりと認識し、短期的に効果を上げられるものと長期的な観点で進めるものが明確に分けられていたため、デジタル化をスムーズに進められたと、上原さんは分析する。
どの世代でも使えれば働き方広がる
オンライン活用の効果は大きかった。不動産顧客向けのセミナーや相談会はもとより、賃貸・売買物件の内覧、ゆうゆう壱番館における入居者と遠方の家族とのiPadを使った遠隔面会なども実施し、コロナ禍でも安心して利用できると好評を得た。社内では全社会議を実施。さらに、旅行会社からの提案で、海外の観光スポットを現地ガイドが案内する社員旅行を開催。社員にデジタルに慣れる機会を設け、苦手意識を払拭させることにもつながった。「20~70代の社員がいますので、全体効率を上げるためにはどの世代でも使いこなせるようになることが必要。当初は戸惑いもあったようですが、慣れるのは早かったです」と濱村
社長は振り返る。
さらにデジタル活用で多様な働き方が広がりつつある。育児や介護などで出社が難しい人に任せられるようになった業務があり、濱村社長は「ゆくゆくは身障者も働きやすい環境にしていきたい」と構想している。
支援者メッセージ 株式会社タイズ(センター登録専門家)上原啓泰さん
明確な目標とイメージでデジタル化進む
オンラインセミナーに必要な機材の提案と、担当者の役割分担などを図式化して紹介し、ディスカッションしました。いかにシンプルかつ安価にできるか、という点に注力しました。
デジタル化を進めるには「デジタル化によって何を行うか」という明確な目標とイメージがあることが大切です。同社では、まずお客さまの気持ちに寄り添う情報提供のために、デジタルツールをどう活用できるかということを担当者自身が探求されていました。そのような課題をしっかり認識されていたことが、短期間でデジタル化が進んだ要因です。
株式会社タイズ
住所:本社・九州支店/北九州市戸畑区飛幡町2-2飛幡ビル6階 URL:https://ties.jp/index.html
事業内容:社会インフラシステムの開発・保守支援、業務用アプリケーションの開発・保守 ほか
1974年創業。「不動産業から、くらしサービスへ」を経営方針に掲げ、より心豊かな暮らしと元気な地域社会の実現を目指している。また全国の不動産事業者向けの賃貸管理実務研修など不動産業界の質的向上にも貢献している。
株式会社 不動産中央情報センター
代表者:代表取締役社長 濱村美和
住 所:北九州市小倉北区東篠崎1丁目3-13 URL:https://www.demand.co.jp/
動画公開中 DXで変わる!北九州市の企業④不動産中央情報センター編
このDX推進をサポートしているのが「北九州市ロボット・DX推進センター」
公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市 ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。
導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。
今回紹介しているDX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAI・IoT等、ITツールを取り入れた新しい ビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。