「DXで変わる!北九州の企業」シリーズ②セレーノ(株)
北九州市の中小企業では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進む。シリーズ第2回目はセレーノの事例を紹介。
人時生産性の向上目指し、DXに向けた業務改善進展中
「日本一働きやすいサロンでありたい」。2013年に宮大輔社長が創業し、市内で5店舗の美容室を展開する「セレーノ」。20人のスタッフが、それぞれの生活環境に合わせた働き方で勤務している。
さらに宮社長はスタッフの1時間当たりの粗利益を表す指標「人時生産性」を向上させたいと、DXに向けた業務改善に取り組んでいる。そのスタートは、スタッフとともに美容業で実現できるDXについての知識を得ることだった。
DXに関する知識が不足していた
「スタッフの幸せ」を経営理念の一つとする宮社長の目標は、人時生産性を上げること。そのためには、業務改善による効率アップと集客につながる仕組みづくりが必要だと考えていた。
折しもコロナ禍で、売り上げは増加傾向にあるものの、利益率は減少。スタッフ間の技術継承も思うように進まなくなっていた。またポストコロナに向けて事業展開する上でどこをどう改善していくべきか、DXに関する知識が不足していた。
DXは現状の課題解決への手段
そんな状況下、宮社長は美容業においてDXで何ができるのか知りたい、スタッフと一緒に勉強会をしたいと思い、北九州市ロボット・DX推進センターの支援事業の利用を決めた。
勉強会を進めたのは、専門家として派遣されたシステム開発会社「インフォメックス」の福岡勝之さん。3回までは宮社長と幹部スタッフで、4回目は全員でDXについてディスカッションし、次の支援を遂行した。
❶現状の課題(勤務シフト作成や手書き伝票に手間取るなど)を抽出 |
❷❶の課題の改善案を検討し、全店共通の印刷伝票を作成、検証 |
❸印刷伝票の試験運用の状況確認 |
❹幹部主導によるスタッフ全員へのDXの要点説明、意見交換 |
DXは現状を変えることが目的で、その手段としてデジタル技術の活用がある。
福岡さんは回を重ねていくうちに、スタッフの理解が深まっていることを実感した。
まずはスタッフ全員の意識改革
「幹部スタッフ主導で進め、現場で一番気になることに着手できたのが良かったです」と宮社長。DXは単なるシステム導入ではなく、スタッフの待遇や労働環境をより良くすることが目的。「スタッフにその意図が伝わり、意識改革できたことは大きい」と手応えを感じている。「印刷伝票を整えたことは一歩前進で、現場から『楽になった』という言葉が聞けました。
会計時には、すべてのお客さまへの応対時間が少しずつでも短縮されます。それも人時生産性の向上につながります」。
今後は市内全区で更なる店舗展開を目指し、マニュアルの電子化や、コミュケーションの円滑化についてもDXを進めていくという。
支援者メッセージ 株式会社インフォメックス(センター登録専門家)福岡勝之さん
いろいろなシステム導入でより効率化を
4回の支援で、「DXとは何か」「DXとITの違いとは」「DX はスタッフのためにするのか、お客さまのためにするのか」といった内容を話していきました。
宮社長とスタッフの皆さんは普段から業務改善のために何をしなければいけないのかなどの会話をされている土壌があったので、DXに対する認識もすっと入っていったように感じました。
店舗拡大されるのであれば、いろいろなシステムを一気に導入できるし、より効率化も進むのではと期待しています。
株式会社インフォメックス
住所:北九州市八幡東区東田1丁目5-7 九州ヒューマンメディア創造センター3階 URL:https://www.infomex.jp
事業内容:業務ソリューションの提案・提供、クラウドサービス導入コンサルティング ほか
「より多くのお客さまに満足を。より多くのスタッフに幸せを」を経営理念に掲げ、宮社長が2013年に創業。リーズナブルな料金設定と来店予約不要の美容室を市内で5店舗展開。働きやすい職場づくりが評価され、2016年に市の「第10回ワーク・ライフ・バランス表彰」で市長賞を受賞した。
セレーノ 株式会社
代表者:代表取締役 宮大輔
住 所:北九州市小倉北区鍛治町1-9-5 URL:https://www.at-ml.jp/70076/
動画公開中 DXで変わる! 北九州市の企業セレーノ(株)編
このDX推進をサポートしているのが「北九州市ロボット・DX推進センター」
公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市 ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。
導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。
今回紹介しているDX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAI・IoT等、ITツールを取り入れた新しい ビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。