北九州市内の先進事例から学ぶDX実践ガイドブック_西原商事ホールディングス
【北九州市内の中小企業が実践したDXの先進事例を紹介】
経営課題 環境変化・競争激化令和5年度 北九州DX大賞 グランプリ 西原商事ホールディングス
DXで廃棄物削減の仕組みづくりに挑む
きっかけ ●突然の契約解除通知がDX推進への転機 ●「管理される側」からの脱却を目指す
かつて廃棄物の収集運搬処理業は、自治体ごとの許認可制に守られ、地域内で完結するビジネスモデルが主流だった。しかし2000年代初頭、マニフェスト制度の義務化により、廃棄物は排出から最終処分までの管理と行政報告が求められるようになり、これらの手続きを担う廃棄物管理会社が誕生した。 北九州市を拠点に事業を展開する西原商事ホールディングスにも、ある日、長年付き合いのある取引先から契約解除の通知が届く。理由は、管理会社の見積もりより年間3000円高かったからだ。「長年の信頼関係よりも、数字だけで判断される時代が来た」。西原靖博代表取締役は大きな衝撃を受けたという。このままでは、価格競争に巻き込まれ、管理会社の下請けとして生きるしかなくなる。「管理される側ではなく、管理する側にならなければ未来はない」。この強烈な危機感が、子会社設立による管理業務への事業拡大につながり、後の「廃棄物処理業に特化したシステム開発」という、未知の領域への扉を開くこととなった。

取組内容 ●現場ノウハウを投入しシステムを自社開発 ●「廃棄物管理のデジタル可視化」を実現
2000年代中盤には、業界にIT化の波が押し寄せるようになった。アナログだった書類の管理を、徐々にExcelやメールに置き換えるサービスも登場したが、西原代表取締役は「現場を知る自分たちなら、もっと使える仕組みをつくれる」という信念のもと、システムの自社開発に乗り出した。3人のシステムエンジニアを採用して、排出事業者と収集運搬業者、処理業者が同じクラウド上で情報を共有できる一元管理システム「bee-net system」の開発に着手した。 開発においては、契約書、マニフェスト(管理票)、請求書の管理を、誰もが透明性を持って確認できる状態にすることを重視。「実はそれまで、廃棄物処理の請求と支払いはどんぶり勘定で行われていたんです。でも、コスト削減には、どんな廃棄物をどれくらい排出しているのかを把握する仕組みが不可欠です。ブラックボックスになりがちだった廃棄物処理のプロセスをシステムで見える化したことで、顧客の信頼を得ることができました」 近年ではドライバーの業務効率改善に向け、ドライバー用の運行管理アプリ「Beetle Assist」の開発もその一環。日報や勤怠管理をスマホで完結させることで、現場の負担軽減と事務作業の効率化を図っている。

bee-net system概要図
成果・展望 ●「仕組み屋」として市民が環境に配慮した行動を促す ●スマホアプリ「リビット」で北九州市と連携
「bee-net system」は開発の初期投資が膨大で、最初の2年間は赤字に陥ったものの、徐々に市場に受容され、全国チェーン大手との取引も増加。現在では廃棄物管理分野だけで売り上げ65億円規模に成長し、グループ内事業の大きな柱となっている。成田詩歩常務取締役は「DXという言葉が一般化する前から、会社の存続のためにサービスをつくったことが、結果的に市場の成長をつかみにいくことにつながりました。社内でも業務を簡素化するアプリケーションやシステムの活用を進め、ドライバーを含めた全社員に浸透しつつあります」と成果と変化を語る。


RebitBOXと連携し、ポイント付与やリサイクル貢献度を可視化するアプリ
次なる展望は、「環境価値を創造する『仕組み屋』へのトランスフォーメーション」。具体的にはBtoC領域における、市民の環境に配慮した行動への変化を促すサービスの構築だ。その中核を担うのが、自社開発の「Rebit BOX(資源循環スマートボックス)」。資源ごみの正しい処分や、古着や古本のリサイクルといった「環境によい行動」を行うと、アプリを通じてポイントが付与される仕組みを搭載したものだ。メリットと遊び心をかけ合わせた仕組みで、市民の自発的な環境配慮行動を促すもので、すでに北九州市と連携して、市民参加型の仕組みづくりも始まっている。「私たちが提供しているのは『仕組み』。扱っている商品は廃棄物ですが、私たちはごみ処理業者ではありません」と西原代表取締役はDXによる仕組みの変化で、持続可能な社会インフラを守っていく。
経営者のメッセージ 西原 靖博 代表取締役

経営において考えるのと同じくらい大切なのは、「行動すること」です。成功が3割、失敗が7割でいい。人口減少の時代、何もしないことのほうがリスクです。今後はAI×DX×環境でサービスを考えていくつもりです。
現場担当者のメッセージ 成田 詩歩 常務取締役/新川 希亮 企画部DX推進課課長

自社開発した廃棄物処理に関わる全業務をDXするためのシステムは、類似する同業他社にも提供することを考えています。そのために必要な開発費についても、現在は各種補助金を積極的に活用しています。
1972年創業。北九州市を拠点に、廃棄物の収集運搬や処分、リサイクルおよびシステム開発、コンサルティングを手がける総合環境企業。廃棄物削減の仕組みづくりにも力を注ぐ。従業員数28人(グループ会社全体198人/2026年1月時点)。
株式会社 西原商事ホールディングス 代 表:西原靖博 代表取締役
住 所:北九州市八幡西区陣原2-2-21
ホームページ : https://www.nishihara-corp.jp/
DX推進をサポートする「北九州市ロボット・DX推進センター」

公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。
導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。
DX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAI・IoT等、ITツールを取り入れた新しいビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。
北九州市ロボット・DX推進センター
運営 公益財団法人 北九州産業学術推進機構(FAIS)
〒808-0135北九州市若松区ひびきの北8−1 TEL092-695-3090