事例

北九州市内の先進事例から学ぶDX実践ガイドブック_戸畑ターレット工作所

【北九州市内の中小企業が実践したDXの先進事例を紹介】

経営課題  生産性・業務非効率  令和5年度 北九州DX大賞 準グランプリ  戸畑ターレット工作所

地域企業を巻き込んだDX推進へ

きっかけ ●IoT機器導入で経営指標の見える化へ    ●「まずやってみる」で取り組んだ 

2014年、主に自動車部品を製造していた戸畑ターレット工作所は経営に関する大きな課題に直面していた。売り上げは上がるものの、利益が下がり続けていた。松本大毅代表取締役社長が就任直後のことだった。原因は明確で、自動車部品の製造が急激に増え、納期に間に合わせるために人海戦術で生産していた。そのため原価率や生産時間に関するデータ分析に手が回らず、生産性は低いままだった。そこでストップウォッチを使って計測も試みたが、正確なデータを継続して把握することは困難だった。  外部技術者からの「IoTを活用すれば計測が安価でできるよ」とのアドバイスが大きなきっかけとなった。松本社長は「まずやってみよう」という姿勢でデジタル化に着手。IoTツールを用いて設備の稼働時間や不良率を把握していった。経営指標の見える化も推し進め、利益率や生産性を上げるための改善を行った。「IoTツールの活用だけで売り上げが向上するわけではないが、管理職の残業時間は減り、データ分析で新しいビジネスを生み出せるようになった」と中野貴敏DX推進室室長は振り返る。

取組内容 ●現場のニーズに応え生産現場の課題解決へ  ●業界の垣根を越えて地域企業を活性化

最初は中野室長が生産技術と兼務でDXの推進に取り組んでいたが、それではDX推進に遅れが生じ、業務も膨大に増えていった。そこで専門の部署を立ち上げ、当時社内でITリテラシーが高い社員に「やってみないか」と声をかけて、専任の4人体制へ移行した。同社のDXの一番の特徴は「デジタルツールの内製化」と話す松本社長。「この機能やボタンが欲しい」といった現場や他の会社からのニーズに寄り添ってカスタマイズする。例えば、金型製造時に発生する温度異常をIoT機器で管理し可視化した。シャボン玉石けんが作ったプログラムをカスタマイズし消費電力量や電気代、二酸化炭素の排出量の見える化を進めた。また、タブレットとIoTセンサーを用いることで日々の生産量や稼働率、不良品の数を収集してデータベース化している。「得意先や顧客とデータで話をできるのが一番大きい」と中野室長は笑顔で話す。「地域を盛り上げたい」という思いで、 2024年の4月からは製造業だけではなく食品や住宅設備など異業種のDX支援活動も行い、各社の問題点をITで改善するサービスも提供している。率先して異業種の会社とのIoTの勉強会を開催するなど、お互いを高め合いながら地域を活性化している。

タブレットとIoTセンサーでデータベース化を加速

成果・展望 ●デジタル化で進む労働環境改善を実感   ●新しい価値創出を生み出す可能性に

一番大きな成果として「IoTツールで現状把握と課題をより細かく出せるようになった」と語る松本社長。入力負担を増やさずに現場のデータを管理でき、紙の記録では生かされなかった情報がリアルタイムで活用されるようになった。管理職の残業時間の削減や会議のスピードの向上など、着実にDXの成果は上がっている。今では現場の人から要望が次々と出るほど会社の風土が変化している。また、DXのノウハウを他社に提供する新事業も展開できるまでに成長。外部売上が生まれるなど、地域貢献と新たな収益源の創出にもつながっている。

 各設備の稼働状況や異常通知などを遠隔から監督可能に

製造業DX支援サービス「カイゼン丸」

「これまで自動車事業の少品種大量生産で培ってきたDXのノウハウを、多品種少量生産を行っている当社の他の工場にも水平展開を図る考えです」と今後を見据える松本社長。また、生産データに加え、品質や金型の状態など取得データの範囲を拡大する。データを集約して「経営指標の見える化」として可視化する仕組みを構築していく。さらに、自社で培ったIoT活用のノウハウを他社へ展開するため、イジゲングループと業務提携し、製造業DX支援サービス「カイゼン丸」を展開している。製造一筋だったが、中野室長が「今が大きな転機になっている」と語るように他の会社への支援業へとビジネスの場を広げ、中小企業が自走できるDXの普及への取組を始めている。戸畑ターレット工作所の展開が、地域企業の生産性向上と新たな価値創出を生み出す大きな可能性を秘めている。

経営者のメッセージ  松本 大毅 代表取締役社長

 まずは小さな部分からDXを始めてみることです。費用がネックだと考えているのであれば、行政の支援もあります。ちょっとしたことからスタートして、効果を実感した後で他の事業に展開するという形でも遅くないと思います。

DX推進担当者のメッセージ  中野 貴敏 DX推進室長

最近は、AIが無料でいろんなコードを書いてくれて使い方も教えてくれます。いろんなツールが使いやすい環境になっているので、中小企業の戦い方として無料のツールとAIを組み合わせて自分たちのやりたいことを自分たちで実現していくことが大事です。

 

1962年創業。自動車や電力関連、住宅設備など幅広い分野の部品メーカー。複数種の部品を効率良く生産する「ターレット旋盤」を用いて事業を開始したことが社名の由来となっている。従業員数168人(2026年3月時点)。

株式会社戸畑ターレット工作所.    代表者:松本 大毅  代表取締役社長
住 所:北九州市小倉南区新曽根11-31  ホームページ: https://www.t-turret.co.jp/

DX推進をサポートする「北九州市ロボット・DX推進センター」

公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。

導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。

DX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAIIoT等、ITツールを取り入れた新しいビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。

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北九州市ロボット・DX推進センター
運営 公益財団法人 北九州産業学術推進機構(FAIS)

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