事例

「DXで変わる!北九州の企業」シリーズ⑦吉川工業ファインテック

林コーディネーター(左)にDXの横展開を相談する担当者ら

「見える化」とQRコード導入で現場から提案続出、デジタル化が加速

吉川工業ファインテックは1973年に金型部品メーカーとして創業、80年代にICリードフレーム、90年代にモーターコア金型製造を開始。現在では精密金型の設計・製作からプレス加工まで一貫して手掛ける企業として知られ、英国発祥の家電メーカー・ダイソンの多くの製品にも採用されている。高い技術力が評価される一方、生産管理のデジタル化が課題となっていたところに北九州産業学術推進機構(FAIS)と出合い、デジタル化の取り組みが始まった。

FAISと連携、デジタル化先進事例へ

金型とプレス製品の設計・製造を主事業とする吉川工業ファインテックでは、近年、電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの駆動系モーターの需要が増えている。生産管理は作業者の手入力から脱しきれず、林勝之常務は「取引先への対応上、稼働状況をリアルタイムに把握しなければならない」とデジタル化の必要性を感じていた。
そんなところに、デジタル化の先進的な事例となり得る現場を探していたFAISの訪問を受けたことをきっかけに連携して取り組むことになった。


精密金型の設計・製作からプレス加工まで一貫して手掛ける

現場からの声で新規プログラム開発へ

とはいえ、半世紀の歴史を持つ企業で、一気に変革へ突き進むことは難しい。FAISの林コーディネーターは、抵抗なく受け入れられるようにハードルを低くして、最初は一部の機能を「見える化」し、成功したら全体に広げていくというスモールスタートを提案。次のように取り組んでいった。

❶プレス機の稼働率の「見える化」
❷作業日報のペーパーレス化
❸QRコードを用いた生産管理システム

まずは、機械の情報をデータベース化し、稼働状況を「見える化」した。また各種情報をQRコードで抽出できるようにし、生産情報の一元管理を実現。さらにQRコードだけで製品出荷個数の管理、客先に提出するラベル作成もできるようになった。実際に現場で進めていったプレス製造部の藤田剛克主任技師によると「せっかくデータが取れるようになったんだから、こんなこともできないか」といった声が上がり、次々とプログラム開発を進めていったという。


作業記録をデジタル化したシステム画面

作業効率向上、売り上げも25%増

これまで手作業、人海戦術で行われてきたことをデジタル化することで作業効率は大幅に向上し、「楽になった」と従業員からも好評だ。ミスも減少し、売り上げも前年度比25%プラス。「アナログでは、これほどの急成長は望めなかった」と林常務はデジタルの力を実感している。
現在、作業手順書の動画化を推進しており、中途採用社員らの戦力化に多大な効果が期待される。主にプレス関係の工程で進めてきたデジタル化だが、林常務は「今後、金型製造工程にも横展開。さらに営業分野でのDXも進めていきたい」という。

支援者メッセージ 北九州産業学術推進機構(FAIS)(DX推進担当課長)林 俊夫 コーディネーター
改善提案を実現する企業風土

生産性の「見える化」が実現できると、現場の声を取り入れながら、即さまざまな機能を追加、アップデートしていくところが吉川工業ファインテックの大きな力だと思います。改善チームがあり、課題や改善提案を実現するための仕組みが次々と出来上がる企業風土が継承されているんです。
FAISは業務改善やデジタル化のきっかけづくりをサポートしています。お気軽にお声かけください。
 

 


発1973年金型部品メーカーとして創業。90年に小型モーターコア金型を発売、2000年には携帯電話用振動モーターを月1500万個生産するなど九州を代表する精密部品メーカー。ダイソンのほぼすべての部品に同社製品が利用されるなど、業界で高く評価されている。
 
吉川工業ファインテック 株式会社
代表者:取締役社長 久保 俊逸
住 所:北九州市小倉北区高浜1-3-1
URL:https://www.yoshikawa-s.co.jp/
 

 

動画公開中 DXで変わる!北九州市の企業⑦吉川工業ファインテック

このDX推進をサポートしているのが「北九州市ロボット・DX推進センター」

公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市
ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。

導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。

今回紹介しているDX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAIIoT等、ITツールを取り入れた新しい
ビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。

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北九州市ロボット・DX推進センター
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