事例

「DXで変わる!北九州の企業」シリーズ⑤白石書店

尾上さんとオンラインで相談を重ねる白石さん。

書籍の受発注業務をデジタル化業界全体のDXも後押し

白石書店は1923(大正12)年創業、100年の歴史を誇る老舗書店として、北九州市内に2店舗、遠賀郡に1店舗を展開。一般書籍・CD・雑貨販売のほか、小中高校の教科書を取り扱い、学校・公共図書館図書納入に高い実績を誇る。
白石隆貴統括マネージャーは商品の選定や店の経営方針策定を担当。業界自体がアナログの世界の中で、自社のみならず書店・出版業界のデジタル化を後押ししようと模索している。

受発注すべて「手書き注文票」で管理

白石さんは、陳列の見直しやSNS発信、絵本の読み聞かせの動画配信、販売システムの開発など多くの経営改善に取り組んでいる。特にコロナ禍を機に開発した学校販売サービス「Raku-Buy」は、スマートフォン一つで決済から受け取り・宅配まで可能。教科書販売時の「密」を回避し、休校時にも対応可能なシステムとして生徒や保護者に喜ばれている。
しかし、顧客から書籍の注文を受け付けるメインの「客注」業務は、いまだに手書きで作成した注文票で、入荷から受け渡しまでを管理。後日、入荷した書籍の注文票を探し出すのにも手間がかかっている状況だ。人手不足の中、何とかデジタルによって「客注」業務の効率化ができないかと北九州市ロボット・DX推進センターに相談した。


1世紀も地元に愛されている書店

現状業務を見直しシステム概要設定

特有の流通形態もあり、販売店や取次店、出版社間でのデジタル化も進んでいない。まずは、注文の受け付けから、取次店または出版社への発注や入荷、顧客への受け渡しまでの業務をデジタル化することを目指した。しかしシステム開発業者へ提案を依頼するにしても、業界特有の作業の流れと必要なシステム機能の洗い出しが必要だった。
同社を担当することとなった専門家の尾上祥一さんは、次の3点を支援した。

❶「客注」業務デジタル化へ向けたシステムの概要設定
❷システム構成と業務フローのまとめ、概算費用提示
❸現状業務との隔たりや物理的課題などの整理

尾上さんは関西在住のため、最初はリモートで相談し、その後はメールでやりとり。毎回の課題についてきちんと期限を設定していくことで、スムーズに進んだ。「これまでいかにタスク管理ができていなかったかに気付かされ、リモートとメールの支援自体がいい経験になった」と白石さんは振り返る。


「客注」業務をデジタル化

「デジタルって楽」。業務通じ実感

「デジタル化された「客注」業務は、若いスタッフには受け入れられたが、手書きに慣れた年配社員らは、なかなかそうもいかない。しかし、時間が短縮される現実に触れ、「デジタルって楽なんだ」と認識を深めているところだ。
「当社がいい事例となって周囲の書店に広げたい」と白石さん。自社だけでなく、業界全体のデジタル化を加速させる。

支援者メッセージ DX&データマネージメント・コンサルタント(センター登録専門家)尾上 祥一さん
「DX化の夢」、ビジョンを描いて進む

最初はエクセルの導入からのスロースタート。それをどうシステム化していくか、デジタル化からDXまでホップ、ステップ、ジャンプという格好です。出版販売業界としてどうDXが進んでいくかを課題とされていることに強く共感し、共通の目標として大きなビジョンを描かせていただきました。
白石さんはすごく行動力のある方で、ビジョンに向けて見事に突き進んでいます。「DX化の夢」の共有。これが最大のポイントではないでしょうか。
 


住所:大阪府堺市
事業内容:データ活用を通じて新たな価値創造とサスティナブル経営の支援。DX推進を会社に浸透させる活動を全国展開で支援ほか

1923年創業。一般書籍、雑誌のほか、特に小中高校の教科書や医学書販売で実績を誇る老舗書店。北九州・遠賀地方に3店舗展開。カフェの経営やコロナ禍で始めた絵本の読み聞かせの動画配信など、意欲的に新規事業に取り組んでいる。

有限会社 白石書店
代表者:代表取締役 白石 隆之
住 所:北九州市八幡西区力丸町23-15
URL:https://s-hon.co.jp/
 

 

動画公開中 DXで変わる!北九州市の企業⑤白石書店

このDX推進をサポートしているのが「北九州市ロボット・DX推進センター」

公財)北九州産業学術推進機構 (FAIS)が運営する「北九州市ロボット・DX推進センター」は、地域の中小企業のニーズに応え、ロボット導入やDX(loTの導入、業務のデジタル化等)推進をワンストップで支援する機関。

導入支援、操作体験、人材育成等の取り組みを通して、ロボット導入やDX推進に意欲のある地域企業を総合的・一元的に伴走支援。
また、集い・つながりの場として、地域企業と高等教育機関、金融機関等との連携を促進し、産学官金のハブとしての機能を果たす。

今回紹介しているDX推進支援においては、専門家を派遣し、Web会議やAIIoT等、ITツールを取り入れた新しい
ビジネススタイルへの転換を図る企業に対して、専門家を派遣し、課題解決を支援している。

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北九州市ロボット・DX推進センター
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